習慣を続けたいと思っても、毎回うまくいくとは限りません。
やろうと思っていたのに忘れてしまう。始めるまでが面倒で後回しになる。気分が乗らない日に、そのまま止まってしまう。何度か繰り返すうちに、「自分は続けるのが苦手なんだ」と感じることもあります。
でも、続かない理由をすべて性格の問題にしなくてもいいのかもしれません。習慣が続くかどうかは、気合いや根性だけではなく、暮らしの中にどう置かれているかにも大きく左右されます。行動は同じ文脈の中で繰り返されるほど出やすくなり、疲れていたり注意が散っていたりするときほど、人はその場の文脈に引っぱられやすいとされています(アメリカ心理学会/米国国立医学図書館の論文データベース)。
だからこそ、続けるのが苦手だと感じるときは、自分を強くしようとする前に、仕組みのほうを頼れる形に変えるという考え方があります。
この記事では、習慣を続けるのが苦手だと感じるときに、仕組みに頼るとはどういうことかを整理します。
続ける力がないのではなく、毎回「判断」が必要になっていることがある
習慣が続かないとき、多くの場合は「今日やるかどうか」をその場で決めています。
今日は疲れている。少し面倒。あとでやろう。今でなくてもいいかもしれない。こうした判断を毎回はさむ形だと、やる気がある日は進んでも、そうでない日は止まりやすくなります。
つまり苦しいのは、行動そのものよりも、毎回決め直さなければならないことなのかもしれません。
仕組みに頼るというのは、この判断の回数を減らすことです。考えなくても始まりやすい形にしておく。迷わなくても動けるようにしておく。それだけで、続けるための負担はかなり軽くなります。
仕組みに頼るというのは、「意志が弱くても動ける形」を作ること
仕組みというと大げさに聞こえるかもしれません。でも実際は、もっと小さなことです。
たとえば、
- 勉強する本を机の上に出しておく
- 家計簿をつけるメモを財布の近くに置く
- 運動用の服を前の日に見える場所へ出しておく
- 水を飲みたいなら、ボトルを手の届く場所に置いておく
こういう配置の変化だけでも、始めるハードルは下がります。習慣は、気持ちが整ってから始まるとは限りません。むしろ、始めやすい配置が先にあるから始まることも多いです。
自分を律するより、動きやすい形を先に作る。それも立派な続け方です。
仕組み1 「見える」ようにしておく
続けたいことは、目に入らないと忘れやすくなります。反対に、なんとなく触ってしまうものや、つい開いてしまうものは、見えるところにあります。習慣にしたい行動も、それと同じです。
たとえば、
- 読みたい本をしまわずに出しておく
- 書きたいノートを机の中央に置く
- 朝やりたいことのメモを目に入る位置に置く
- スマホより先に見る場所に、必要なものを置く
この「見える」は、とても地味ですが効きます。行動は文脈や手がかりに影響されやすく、環境にある合図が繰り返しのきっかけになります(アメリカ心理学会)。だから、続けたいことを思い出す努力を減らすだけでも、かなり違います。
仕組み2 「ついで」に乗せる
新しいことは、それ単体で置くと続きにくいことがあります。
一方で、
- コーヒーを入れたあとに1ページ読む
- 歯みがきのあとにストレッチする
- バッグを置いたあとにレシートを出す
- 夜に机に座ったら3分だけ書く
のように、すでにある流れにくっつけると始めやすくなります。習慣化の考え方では、同じ行動を同じ文脈で繰り返すことが、自動化につながりやすいとされています(米国国立医学図書館の論文データベース)。そのため、「何時にやるか」よりも「どの流れのあとに置くか」を決めるほうが合うことがあります。
やる気が出たら始める、ではなく、この流れになったら少しだけやる。その形のほうが、意志に頼りすぎません。
仕組み3 「最初の一手」を決めておく
習慣が止まりやすい人は、何をするかより、どこから入るかで詰まりやすいことがあります。勉強なら、教材を選ぶところから止まる。片付けなら、どこを手をつけるかで止まる。記録なら、きれいに書こうとして止まる。
そういうときは、内容全体を決めるより、最初の一手だけ決めておくと軽くなります。
たとえば、
- 勉強は最初に1ページだけ開く
- 片付けは机の上の1つだけ戻す
- 記録は一言だけ書く
- 家計管理は支出を1件だけ見る
ここが決まっていると、始める前の迷いが減ります。仕組みは、自分を厳しく管理するものではありません。最初の面倒を小さくするための補助です。
この「最初の一手」だけを掘り下げた話は、習慣が止まる日は、最初の一手が重いにまとめています。
仕組み4 「ゼロにしない逃げ道」を作る
毎日同じようにできる人は多くありません。疲れる日もあれば、気が乗らない日もあります。だから仕組みを作るなら、うまくできる日の形だけではなく、できない日の形も用意しておいたほうが続きやすいです。
たとえば、
- 10分できない日は1分で終えていい
- 1ページ読めない日は表紙を開くだけでもいい
- 記録できない日は日付だけ書いて終えていい
- 片付けられない日は1つだけ戻して終わりにする
習慣形成の研究では、たまに実行できない日があっても、それだけで大きく崩れるわけではないとされています(米国国立医学図書館の論文データベース)。だからこそ大事なのは、完璧に守ることより、戻りやすい逃げ道を作っておくことです。
記録そのものが重く感じられるときは、続けるのが苦手な人ほど、記録を頑張りすぎないほうがいいも参考になるかもしれません。
仕組み5 「やらないほう」を少し不便にする
続けたいことだけでなく、邪魔になるものの置き方を変えるのも仕組みです。
たとえば、
- つい見てしまうアプリを少し開きにくくする
- 勉強前に関係ないタブを閉じておく
- 間食しやすいものを見えにくい位置に置く
- 作業前にスマホを別の場所へ置く
人は疲れているときほど、考えるより先に、いつもの流れに戻りやすいと言われます(アメリカ心理学会)。だから、良い習慣を増やすだけでなく、止めたい行動の手前に少しだけ面倒を置くのも有効です。
頑張って我慢するより、ついそちらへ行きにくい形にしておく。それも、かなり現実的な方法です。
仕組みは「ちゃんとした人」のためではなく、波がある人のためにある
仕組みという言葉から、きちんとした人がやるものだと感じることがあります。でも本当は逆で、仕組みは、毎日同じように頑張れない人のためにあります。
忙しい日がある。疲れて何もしたくない日がある。やる気の波がある。忘れやすい。後回しにしやすい。そういう普通の揺れがあるからこそ、意志ではなく配置や流れで支える意味があります。
習慣が続く人は、特別に強い人というより、自分が揺れる前提で置き方を作っている人なのかもしれません。実際の暮らしの中で作ってきた仕組みの実例は、三日坊主は意志のせいじゃない。続く人がやっている「3つの仕組み」に書いています。
自分を責める前に、仕組みを疑ってみる
何度か続かなかったあと、人は自分の性格を疑いやすくなります。向いていないのかもしれない。だらしないのかもしれない。また同じことになるかもしれない。
でもその前に、見える位置にあったか。流れに乗せられていたか。最初の一手が軽かったか。ゼロにしない逃げ道があったか。と、仕組みのほうを見直してみてもいいはずです。何度も繰り返しているときの見直しどころは、三日坊主を繰り返すとき、続けることより先に見直したいことにまとめています。
続けることは、いつも精神論で片づけなくてもいい。仕組みに助けてもらうことで、少し静かに続くこともあります。
まとめ
習慣を続けるのが苦手でも、仕組みなら頼れるかもしれません。
見直したいのは、
- 思い出しやすい置き方になっているか
- 既存の流れに乗せられているか
- 最初の一手が軽く決まっているか
- できない日の逃げ道があるか
- 邪魔になるものが近すぎないか
という、行動の周りの形です。
続かないときに足りないのは、もっと強い意志とは限りません。少しだけ動きやすくなる配置や流れのほうが、役に立つこともあります。
もし今、また続かなかったと感じているなら、次に増やすのは反省ではなく、自分を助ける仕組みなのかもしれません。
続ける仕組みを形にしたい方へ
やる気に頼らず続けるには、書き出して見える形にするのが近道です。
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