「勉強したい気持ちはあるのに、毎日が過ぎていく」
そんな感覚を持ったことがある人は、少なくないと思います。
計画を立てたことが、ないわけではないはずです。むしろ、ちゃんと立てたことがある。スケジュール帳に線を引いて、1日ごとの割り振りまで決めた。でも仕事が長引いた日、疲れて何もできなかった日を境に、計画と現実がずれていく。ずれた計画を見るのがつらくなって、開かなくなる。残ったのは「また続かなかった」という気持ちだけ——そんな経験があると、計画を立てること自体が少し怖くなります。
でも、それは計画を立てたことが間違いだったのではなく、崩れることを想定していない計画だったからかもしれません。だから必要なのは、気合いでも、もっと細かい計画でもなく、崩れても機能する設計です。
私自身、時間に余裕がある中で勉強してきたわけではありません。入院中にFP2級を取得したときも、育休中に簿記3級・2級を同時に取ったときも、「時間があったからできた」のではなく、限られた時間でも動けるように設計していたから続けられました。この記事では、その設計のやり方を、90日という単位でそのまま書きます。
なお、「そもそもなぜ続かないのか」を仕組みから整理したい方は、先に三日坊主は意志のせいじゃない。続く人がやっている「3つの仕組み」を読んでもらうと、この記事の設計がすっと入ってくると思います。
なぜ「90日」がちょうどいいのか
長すぎる計画は、だんだん現実から離れていきます。半年、一年という単位で考え始めると、最初はやる気があっても、途中で緩みやすくなります。
その点、90日という長さにはちょうどよさがあります。短すぎて焦りすぎることもなく、長すぎて緊張感が切れることもない。試験日から逆算しやすく、生活の中に勉強を組み込むには現実的な長さです。
社会人の勉強で必要なのは、完璧な年間計画ではありません。「今の生活の中で、3ヶ月なら続けられる」という手応えです。
設計を始める前に、決めておくのは4つだけ
90日の計画を作るとき、最初に全部を細かく埋める必要はありません。まず決めるのは、次の4つです。
- 試験日(ここがすべての起点になります)
- 使う教材(途中で替えない前提で選ぶ)
- 毎日勉強する時間帯(「時間ができたら」ではなく、生活のどこに置くか)
- 週にどこで遅れを戻すか(崩れる前提で、戻す場所を先に確保する)
この4つが決まるだけでも、計画はかなり現実的になります。逆にここが曖昧なままだと、どれだけきれいなスケジュールを作っても崩れやすいです。大切なのは、理想的な計画ではなく、忙しい自分でも守れそうな計画にすることです。
簿記2級を予定している方は、この4つを簿記に当てはめた形を簿記2級の勉強計画はどう立てる?続けやすい形にするための考え方にまとめています。
90日設計は、3つの段階に分けて考える
Phase 1|1〜30日目:全体像をつかんで、勉強を生活に入れる
最初の30日で大事なのは、完璧に理解することではありません。まずは教材を一周しながら、試験全体の構造を知ること。そして勉強する生活リズムを作ることです。この時期にやることは、たとえば次の3つです。
- テキストを1周する
- 出題範囲と配点の大枠を知る
- 毎日30〜45分の勉強時間を固定する
ここで求めるのは、深い理解より「止まらない流れ」です。最初から全部を覚えようとすると、重たくなって止まりやすい。それよりも、「今日も開いた」「今日も少し進めた」を積み重ねる方が、後で効いてきます。
この時期に一番よくある崩れ方は、理解できない箇所で止まってしまうことです。1周目は「わからないまま進む」で大丈夫です。最初の2週間の流れの作り方は、挫折しないための「最初の2週間」の作り方に詳しく書いています。
Phase 2|31〜60日目:問題を解きながら、自分の弱点を知る
基礎をひと通り見たら、次は問題演習に入ります。ここで初めて、自分がどこを理解していて、どこで止まるのかが見えてきます。この時期にやることは次のような内容です。
- 過去問や問題集を解き始める
- 間違えた問題を記録する
- 苦手分野を絞って復習する
間違えた問題は、これから点になる場所です。全部を均等に見直すより、つまずいた場所だけを何度も潰していく方が、限られた時間ではずっと効率的です。
この時期の崩れ方は、解けない問題が続いて気持ちが折れることです。正答率は下がって当たり前の期間なので、「解けた数」ではなく「弱点が見つかった数」で進み具合を測ってください。
Phase 3|61〜90日目:本番を意識して、仕上げに入る
最後の30日は、「わかったつもり」を減らしていく期間です。この段階では、勉強したことを増やすより、試験で点を取れる形に整えることが大切になります。
- 過去問を繰り返す
- 本番と同じ時間で解く
- 最後は暗記事項と弱点の確認に絞る
この時期に全部をやり直そうとすると、かえって不安になります。そうではなく、「落としたくない場所を確実に取る」意識に切り替える。追い込みの時期ほど、新しいことを増やすより、積み上げてきたものを安定させる方が結果につながります。
忙しい社会人ほど、勉強の前に「環境」を調べておく
社会人の勉強は、机に向かう前から始まっています。何を勉強するかだけでなく、どこで、いつ、どうやって続けるかを先に決めて、やれる環境を決めておくことが必要です。
勉強を始めやすくする道具も、先に整えておきたい方へ。忙しい時期の勉強は、教材そのものだけでなく、すぐ取りかかれる状態を作っておくことも助けになります。時間を区切りやすいタイマーや、書きやすいノートのような道具を、使いやすさの観点でまとめています。
計画どおりに進まなかった週の扱い方
90日あれば、計画どおりに進まない週は必ずあります。残業が続く週、体調を崩す週、家のことで手一杯の週。それは設計の失敗ではなく、90日という長さには最初から織り込まれていることです。
だから、崩れた週にやることは「取り返すこと」ではありません。次の3つだけで十分です。
- 抜けた分を埋めようとしない(週の「戻す場所」に入る分だけ戻す)
- 再開の1日目は、いつもより軽くする
- 計画そのものを、今の生活に合わせて少し引き直す
計画は、守るためのものではありません。迷ったときに、戻るためにあるものです。ずれた計画を責める材料にするのではなく、「今どこにいて、次はどこへ進むか」を確認する地図として使ってください。地図は、道に迷ったときにこそ役に立ちます。
数日空いてしまって、再開そのものが重く感じられるときは、3日空いたあとに。習慣を立て直すとき、最初に戻しすぎない考え方が助けになると思います。
まとめ
資格勉強を続けるために必要なのは、根性ではありません。生活の中に無理なく入る設計です。90日という区切りの中で、
- 最初の30日で全体像をつかむ
- 次の30日で弱点を知る
- 最後の30日で試験仕様に仕上げる
この流れを作るだけで、勉強はかなり進めやすくなります。忙しいから無理なのではなく、忙しい人には忙しい人向けの設計が必要です。
設計は、今日から始められます。
今日はひとつだけ。試験日を決めて、カレンダーの90日先に印をつけてみてください。まだ教材がなくても、時間割がなくても大丈夫です。終わりの日が決まった瞬間から、90日は「いつかやる」ではなく「進んでいる途中」に変わります。
この記事の設計を、そのまま書き込める形にしました
試験日から逆算して90日の計画を立てられる「学習設計シート」を無料で配布しています。頭の中で組み立てるより、紙に書いた方が戻りやすくなります。
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