生活防衛資金という言葉を見ると、「いくらあれば安心なんだろう」と気になりやすいです。
貯金が少ないと不安になりますし、逆に少し貯まっていても、これで足りるのか分からないことがあります。金額の目安が知りたい気持ちは自然ですが、最初に必要なのは、誰かの金額をそのまま当てはめることではありません。
生活防衛資金は、ただ多ければいいお金というより、何があったときに生活を守りたいのかで考え方が変わるお金です。仕事が一時的に不安定になったときに備えたい人もいれば、急な出費や体調不良に備えたい人もいます。家族構成や働き方、毎月の固定費によっても、落ち着く金額はかなり違います。
だからこそ、「みんなはいくら持っているか」より先に、
自分は何に備えたいのか
毎月どれくらいあれば暮らしが回るのか
を見たほうが、生活防衛資金は考えやすくなります。
この記事では、生活防衛資金を考えるときに、金額だけで焦らず、先に見ておきたいことを書いていきます。
生活防衛資金は、貯金の正解を探すものではない
生活防衛資金というと、まず「○か月分必要」といった目安を探したくなります。たしかに目安は参考になりますが、その数字だけで安心か不安かを決めようとすると、少し苦しくなりやすいです。
たとえば、毎月の支出が比較的軽い人と、住まいや家族の事情で固定費が大きい人では、同じ金額でも感じ方が違います。働き方が安定している人と、収入の波がある人でも、必要だと感じる備え方は変わります。
つまり、生活防衛資金は金額そのものより、自分の暮らしに対してどのくらいの余白があると安心できるかで考えるほうが自然です。
最初から「いくらあれば十分か」を決め切れなくても大丈夫です。まずは、足りるか足りないかの判定より、
どんなときに困りやすいのか
を見つけることのほうが役に立ちます。
最初に見たいのは、毎月いくらで暮らしが回っているか
生活防衛資金を考えるとき、最初に見たいのは、今の生活を回すのに毎月どれくらい必要かです。ここが見えていないままだと、貯金額だけを増やそうとしても、どこを目標にすればいいのか分かりにくくなります。
大事なのは、理想の暮らしの金額ではなく、
いったん収入が不安定になっても回したい最低限の暮らし
を考えることです。
家賃、食費、水道光熱費、通信費、保険、最低限の移動費。そういった「止めにくい支出」がどれくらいあるのかを見るだけでも、生活防衛資金の考え方はかなり変わります。
ここでは細かい家計簿をつけ切る必要はありません。ざっくりでも、
毎月そのまま出ていくお金
が見えていれば十分です。生活防衛資金は、特別な贅沢のためのお金ではなく、暮らしを急に崩さないためのお金だからです。
不安の種類によって、必要な備え方は変わる
生活防衛資金を考えるときは、貯金の総額より先に、不安の種類を分けたほうが進めやすいです。
たとえば、
- 収入が一時的に減る不安
- 急な出費が重なる不安
- 体調を崩して働きにくくなる不安
- 家族の事情で予定外の支出が出る不安
このあたりは、同じ「お金の不安」に見えても、中身が少しずつ違います。不安の種類そのものを分けるところから始めたい方は、お金の不安があるとき、家計簿より先に見たいことはある?もあわせてどうぞ。
収入減の不安が強いなら、毎月の生活費に近い形で残しておきたいですし、急な出費への不安が強いなら、すぐ動かせる余白があるほうが安心しやすいです。つまり、生活防衛資金は「大きな貯金ひとつ」で考えるより、
何に備えたいかで安心の形が違う
と見たほうが現実に合いやすいです。
固定費が重いなら、生活防衛資金の前に見直したいこともある
生活防衛資金を考えていても、毎月の固定費が重いままだと、目標額ばかり大きく感じやすくなります。そうすると、「いくらあっても足りない気がする」という感覚になりやすいです。
このときは、先に貯金額を増やすことだけを考えるより、
毎月の支出の土台を少し軽くできないか
を見るほうが合うことがあります。固定費が今の暮らしに合っていないと、生活防衛資金の必要額も重く見えやすいからです。
もちろん、固定費をすぐに大きく変えなくても大丈夫です。ただ、生活防衛資金を考えるときに
毎月いくら必要か
が分かりにくいなら、固定費の確認から入るほうが落ち着いて考えやすくなります。見直す順番は、固定費は何から見直す?暮らしを整える順番を考えるで整理しています。
固定費の中でも迷いやすい保険は、今の保険、このままでいい?見直しの前に考えたいことで確認から始める形を整理しています。
生活防衛資金は、一気に作るものではなく、置き方を決めるほうが大切
生活防衛資金というと、「まとまった額を早く作らなきゃ」と感じやすいです。でも、最初からそこまで急がなくて大丈夫です。
大事なのは、一気に完成させることより、少しずつ残る置き方を作ることです。毎月の中で、生活費と完全に混ざったままだと、生活防衛資金も日々のお金に引っ張られやすくなります。
そのため、金額が大きくなくても、
これは普段は使わないお金
として少し分けておくだけで、気持ちはかなり変わります。この分け方の考え方は、先取り貯金はした方がいい?続けやすいお金の分け方を考えるで書いています。
生活防衛資金は、資産形成のように増やすためのお金というより、
すぐ不安に飲まれないための余白
に近いです。だからこそ、立派な金額を目指す前に、まずは触りにくい場所に少し置いておくことのほうが意味があります。
貯金額より先に、「安心しやすい形」を決めていい
生活防衛資金を考えるとき、つい数字に目が向きますが、実際には形のほうが大事なこともあります。
たとえば、
- すぐ使う口座と分ける
- 毎月少額でも先に分ける
- 何のためのお金かを自分の中で決めておく
このくらいでも、生活防衛資金はかなり扱いやすくなります。実際の口座の分け方は、先取り貯金の始め方。手取り別の目安と、3口座で続ける家計の整え方が参考になるかもしれません。
逆に、金額だけ決めても、普段のお金と混ざっていたり、目的が曖昧だったりすると、必要なとき以外にも崩れやすくなります。だから、いくら必要かを急いで決めるより、
どう置けば落ち着いて残しやすいか
から考えても大丈夫です。
まとめ
生活防衛資金は、いくら必要かを先に決めるより、
何に備えたいのか
毎月どれくらいで暮らしが回るのか
を見たほうが考えやすくなります。
人によって働き方も固定費も不安の種類も違うので、同じ金額がそのまま安心につながるとは限りません。だからこそ、最初は目安の数字に追いつこうとするより、今の暮らしで困りやすい場面を少し分けてみるほうが自然です。
もし今、生活防衛資金が気になるのに何から考えればいいか分からないなら、まずは
毎月の生活で止めにくい支出がどれくらいあるか
をざっくり見てみるところから始めると、次の一歩が選びやすくなると思います。