育休に入る直前、社長賞を受賞しました。
そのすぐあとで、上司に妊娠と育休のことを伝えました。返ってきたのは、「出世の道はもう終わったな」という一言でした。
悔しかったです。意地でも、復帰したら元のポジション以上に戻ってやる。そう思いながら休みに入りました。
この記事は、その意地がどうなったかという話です。うまくいった話ではありません。
気持ちだけが、先に走っていた
復帰したのは、生後半年のときでした。いま思えば早すぎたのですが、当時はそれくらいでないと間に合わない気がしていました。
いきなり長時間、保育園に預けることになりました。息子は何度も体調を崩し、そのたびに拗らせて、入院を繰り返しました。
その入院中に、夫の九州への転勤が決まりました。
手を抜いたわけでも、途中で諦めたわけでもありません。それでも、思っていた場所には戻れませんでした。頑張ったぶんが返ってこない。その感覚が、いちばんこたえました。
2人目のときは、お金で解決しようとした
1人目で懲りていたので、2人目のあとの再就職では、外に出せるものは全部出しました。
朝は早く出社しなければならず、子どもがご飯を食べ終わるのを待っていられません。訪問型の保育士さんに来てもらい、食べ終わるまでの見守りから保育園への送りまでをお願いしました。夕方のお迎えも同じ方に頼みました。帰ってからは、用意しておいた夕飯を食べさせて、お風呂、歯磨き、寝かしつけまで。夫か私のどちらかが帰宅するまで、そのまま見ていてもらいました。
それとは別に、週2回、食事を作って掃除をしてくれる方にも来てもらっていました。
働くために、働いて得たもののかなりの部分を、外注に使っていました。
それでも、楽にはなりませんでした。
お金で減らせたのは、作業だけだった
外に出して減ったのは、手を動かす時間でした。減らなかったのは、気持ちのほうです。
子どもが熱を出すと、頭の中は仕事のことでいっぱいになります。休めない。でも病児保育に預けるには、いったん病院で診てもらって書類を書いてもらう必要があります。そのために急に仕事を空けることもできません。
「明日から病児保育に預けたいので、書類をお願いします」
そう伝えたとき、お医者さんに言われました。こんなに苦しそうなのに、可哀想に。親として──。
保育園の送り迎えを保育士さんに任せきりにしていたら、別のお母さんから「保育士さんがママだと思ってた」と言われました。一度ではありませんでした。
いちばんこたえたのは「かわいそう」だった
何よりこたえたのは、「こどもがかわいそう」という言葉でした。
自分でも、同じことを思っていたからです。
行事に参加してあげられないのはつらかった。私だって、もっと一緒に過ごしたい。でも、仕事も手放したくない。
そのあいだで揺れているときに、外から答えを出されるのが苦しかったのだと思います。言われた内容が間違っていたからではなく、自分がいちばん気にしているところを、そのまま指されたからでした。
順番が決まったのは、地震のときだった
大きな地震があり、住んでいた地域も被害を受けました。
仕事では責任のある立場にいたので、家のことを優先するわけにはいきませんでした。
それでも、子どもたちに何かあったらと考えたとき、はっきりしました。いちばん大事なのは、この子たちだ、と。
そこから、仕事の優先順位を下げました。子どもたちと過ごす時間を、先に確保するようにしました。
評価は下がりました。それでよかったと思っています。
ただ、その状態では任された役割を果たせません。だから会社を辞めて、個人事業主として在宅でできる仕事に切り替えました。
責めるのが止まったというより、順番が変わった
いま振り返ると、あの時期に何かを間違えたわけではなかったと思います。頑張り方を変える方法を、まだ知らなかっただけでした。
自分を責めるのが止まったのも、気持ちの整理がついたからではありません。何がいちばん大事なのかがはっきりして、そこに時間を寄せた。それだけです。
順番が決まると、できていないことの数え方が変わります。全部に手が届いていない状態は同じでも、どこに届いていないのかがはっきりするぶん、責める材料は減ります。
できなかった日をどう扱うかについては、できない日があっても、そこで終わりにしなくていい。忙しい日・やる気が出ない日の戻り方にもまとめています。
今日はひとつだけ
いま同じ時期にいる方へ、ひとつだけ。
厳しいことを言ってくる人からは、離れていいと思います。
育児と仕事を同時にやるのは、どんな仕事であれ、ものすごく大変なことです。頑張りすぎなくて大丈夫です。
人に頼ってもいいと思います。黙って我慢しているより、口に出したほうが早く動くことのほうが多いです。手を貸してくれる人は、探せばいます。
そして、いまいる場所は誰にでも回ってくるものではありません。大変さの合間に、少しでも面白がれる時間があるといいなと思います。
この時期のあと、私は個人事業主になり、そのあと父の会社を引き継ぐことになりました。その話は、「継がないほうがいい」と言われた父の会社を継いだに書いています。
まとめ
・妊娠を伝えた時点で、線を引かれることがあること
・お金で外に出せるのは作業で、気持ちのほうは減らないこと
・「かわいそう」がこたえるのは、自分も同じことを思っているから
・責めるのが止まるのは、整理できたときではなく順番が決まったとき
・厳しいことを言う人からは、離れていいこと
続ける仕組みを形にしたい方へ
やる気に頼らず続けるには、書き出して見える形にするのが近道です。
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