資格を取ろうか迷っているとき、いちばん引っかかるのは「取っても使わないかもしれない」ではないでしょうか。
私が簿記2級を取ったのは育休中でした。教養として知っておきたい、くらいの気持ちで、特に使う予定があったわけではありません。
結果から言うと、その資格は数年後にまったく別の場面で効いてきました。この記事では、すぐ使わない資格が「あとから効く」というのはどういうことなのかを、実際にあった場面から整理します。
先に、この記事の答えを書きます
- すぐ使う予定がなくても、必要になったときに「もう持っている」状態はかなり楽です
- 効いてくるのは知識そのものより、話が通じることと、質問ができるようになることです
- 資格を持っていること自体が、周囲の扱いを変える場面もあります
取った直後は、たいして役に立たなかった
正直に書くと、取った直後の実感は薄いものでした。
転職のときに、保有資格として書きやすい。役に立ったのはその程度です。そして実際に入った職場では、簿記を使う仕事にはつきませんでした。
この時点だけを見れば、「やっぱり使わなかった」という話になります。取ってすぐ元を取ろうとすると、たいていこうなります。
資格の価値を「取った直後に何が変わったか」で測ると、ほとんどの資格は割に合いません。
効いてきたのは、数年経ってからだった
変わったのは、もっとあとです。
個人事業主としてコンサルティングをしていたとき。そして、父の会社を引き継いだとき。分かってよかったと思う場面が、何度もありました。
特に会社を引き継いだときは、決算書も契約書も、最初は何もかもが分かりませんでした。それでも、まったくのゼロではありませんでした。数字の並びが何を表しているかの見当がつく。それだけでも、調べ始める場所が決まります。
会社を引き継ぐことになった経緯は、「継がないほうがいい」と言われた父の会社を継いだに書いています。
すぐ役立つと思って取った資格ではありませんでした。それでも、必要になったときにはもう持っていた。順番としては、これがいちばん楽だったと思います。
必要になってから取るのは、いちばんしんどい
必要に迫られてから勉強を始めるのは、できないことではありません。ただ、いちばん条件が悪いタイミングではあります。
必要になっている時点で、たいてい時間がありません。落ち着いて基礎から積む余裕もありません。目の前の判断を迫られながら、同時に学ぶことになります。
教養のつもりで取っていたときは、締め切りも損得もありませんでした。あの時期に基礎を通しておけたのは、結果として運がよかったのだと思います。
いちばん効いたのは「質問できるようになったこと」
税理士や弁護士など、専門家とやりとりする機会も増えました。
そこで気づいたことがあります。何を聞けばいいか分からない状態では、相談もできません。
専門家に任せればいい、とよく言われます。でも、質問の形にするには最低限の言葉が要ります。「この費用は何ですか」と聞けるのと、「よく分からないので全部お任せします」しか言えないのとでは、返ってくるものがまったく違います。
勉強する意味があるとしたら、答えを出せるようになることより、質問できるようになることなのかもしれません。
資格を持っている側に回ると、扱いが変わる
もうひとつ、あまり語られないことがあります。
資格を持っているというだけで、人は信頼されます。そして実際に話してみると、自分で調べて得られる情報とそれほど大きな差がない場面も、少なくありませんでした。
専門家が要らないという話ではありません。判断の責任を引き受けてもらえること自体に、大きな意味があります。
ただ、信頼が資格という形で可視化されているのなら、自分がそれを持つ側に回るという選択肢もあります。持っていると、聞ける相手が変わり、話の入り口が変わります。
お金まわりで最初の1つを選ぶなら、暮らしに直結する範囲から入るのが自然だと思います。何から手をつけるかは、お金の勉強って何から始める?暮らしに役立つ学び方を考えるに整理しています。
やらなくていいこと
「いつか役に立つから」と、資格を並行して増やすのはおすすめしません。
あとから効いたのは、通しで基礎を入れた1つだけでした。数を持っていたからではありません。
また、取った直後に「元を取らなければ」と考えるのもやめて大丈夫です。使う場面は、たいてい自分で選べません。向こうからやってきます。
今日はひとつだけ
いま資格を取るかどうかで迷っているなら、決めるのは今日でなくて大丈夫です。
かわりに、ひとつだけ。
「これが分かったら、誰と話が通じるようになるか」を1行書いてみる。
税理士でも、銀行の担当者でも、学校の先生でも構いません。資格を取るかどうかより、その相手と話せるようになりたいかどうかのほうが、続くかどうかを決めます。
資格そのものを目的にすると重くなりますが、話が通じる相手を増やすためと考えると、少し軽くなります。
まとめ
・取った直後に元を取ろうとすると、たいていの資格は割に合わないこと
・効いてくるのは数年後で、そのとき「もう持っている」のがいちばん楽なこと
・必要になってから取るのは、いちばん条件が悪いタイミングであること
・いちばん効くのは、答えを出せることより質問できるようになること
・資格を持つ側に回ると、聞ける相手と話の入り口が変わること
続ける仕組みを形にしたい方へ
やる気に頼らず続けるには、書き出して見える形にするのが近道です。
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